2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

楽園崩壊

僕は君を知っているつもりで君を誘うけれど、君は僕を知っているふりをして僕に何もしない。 《Ans.私はあなたを愛していないのです。》 そんなのあり。 ありもなしもないのです。この世では驚くほど悲しい出来事が突然のように起こり、涙なんか出ないからそ…

せかいは稀に美しく、僕は飽和する。

欠落者

僕は右耳がよく聴こえない だから何かの儀式のように 貴女の電話は左耳に当ててんだ ねえ、貴女の右側は空けておいてよ 僕は右手がうまく動かない だから何かの誓いのように 貴女の身体は左手で撫でてんだ ねえ、貴女の左側は空けておいてよ 僕はうまく呼吸…

不自由

見えない右眼を引きずり出して、 酸素を奪い合うように息苦しい。ヒトらしく藍色の涙を零して、 囚人が働くように嘆かわしい。声にならない僕らの悲鳴。 いなくなった。誰にも愛されていたいから僕は泣くけれど、 誰にも愛されていないから僕は笑う。理解し…

ポップコーンのような軽いお菓子では誰も銃殺できない。 頭に流れる重低音たちが退屈を殺す。 けれど寂しさは誰も殺してくれない。見ようとすらしてくれなかった。 残酷な世界、悲しいばかりの欲望。 どうして僕は愛されたい。

人形的結末

いまの僕が大人であるつもりはないけれど、これだけのものを捨ててきてまだまだたどり着けない世界の底が知れなくて眩暈がする。 どうせ時間の中で置き去りにされて掠れてしまうなら、子供でなんていなければ佳かったのに世界は子供がいないと成立しないとい…

hushaby

僕がいらないのは世界のすべてで 僕と世界 どちらが先に間違ってた僕が壊れたって誰も泣かなくて 僕の死体 笑ったらまたひとりになる二年前 錆びついたナイフで 傷ついた右腕 紅い指 あの時まだ泣けたのに 泣けたのに君がいらないのは世界の摂理で 君は不快 …

散策

死にたい、死にたいと云って居る僕は余計に飽和して居る。 理解してしまったら世界は終わる。誰にも愛されていたいから僕は泣くけれど、 誰にも愛されていないから僕は笑う。溢れる気持ちを抑えられなくてそっと泣かないで。 逸る気持ちを逃がしきれなくてそ…

アゴラ

「生きるって、痛みですよね」 空を仰いで、ありふれた少女はそう言った。 「生きるとか死ぬとかどうでもいいだろ?」 殺伐として、貧乏な青年は吐き捨てた。 「生きようとするからそうなる」 ただ静かに、老獪な女奴隷は嘲笑った。「生きても跡は遺らないわ…

五月

久しぶりの学校は灰色がかって見えた。気がする。変わっていないひとは変わっていなかった。倦怠感につぶされそうな僕からしたらうらやましいの一言。 ついさっき、久しぶりの友と、僕が五月病気味で疲れたという話をしたら、それはいつもだと言われた。元気…

偽物の君

僕は横断歩道を上手に歩けません。ファミリーレストランで、フォークを上手く使うこともできません。こわいのです。道端ですれちがう、なにも知らない通行人Aの視線が思い出したかのように僕に向けられる、あの感覚。沈黙にたえながらフォークを口へ運ぶ僕…

嫌うとはあるいは

好きだったひとを嫌いになるというのは結局、過程なのだとおもう。 好きというのは相手を特別に想うこと、その反対は特に興味を持たないこと。だから好きでなくなったら無関心でいたいのに、一度めぐり逢ってしまったらそう簡単に無関係に戻れない。 時間し…

小咄

昼は明るく夜が暗い、とよく聞くが、僕に言わせれば、夜は青白い、昼は薄黒いイメージ。 光の色の捉え方に、誤差が生じているらしい。 失明した君の、視界にどんな世界が映るのか知りたい。 すると、何も考えない顔で、目玉焼きが食べたいと君は言った。

流行り病についての預言と考察

五月はもはや、春だという気がしない、かといって夏だという気がするわけでもない。 そんな怠惰な時期だから、人間がどんどん特別なやまいになりたがり始めるのか。 欲望と惰性とが切り離せないものだと認めて、逃げ道をなくしたくないらしい。 元々の生活が…

黒いせかいと僕の関係への考察

このせかいの全ての色は赤、青、黒、白、の四種類に分類される。 なぜなら、この四つでしか形容詞を作れない。 黒くないのに黒板、青くないのに青信号と呼ぶせかいは破綻しているわけではなかった。だったら、僕の手は肌色ではないかもしれない。 実は青いん…