人形的結末

いまの僕が大人であるつもりはないけれど、これだけのものを捨ててきてまだまだたどり着けない世界の底が知れなくて眩暈がする。
どうせ時間の中で置き去りにされて掠れてしまうなら、子供でなんていなければ佳かったのに世界は子供がいないと成立しないという矛盾。
だったら世界はいらないと言い切れないあなたたちを、片っ端から排除すればあるいは世界の仕組みは変わるのかな。

実はいつかは滅ぶというだけの驚くほど簡単な世界に棲息するために必要なものはライセンスではなく決定的な鈍感さで、そして実はそんなもの大多数の人間がもともと持っていたりする。
コーヒーを飲めるようになったと言って喜ぶ男たちと陰部から血が滴ったと言って悦ぶ女たちが、蔓延る限りはきっと世界は終わらないのかもしれないけど腐っているよとは思う。

僕は夜色が好き、底が見透かせるくせに不安定で救いがないと言い切れるから。
僕は肌色が嫌いではないけど人肌が常に得られるわけではないから嫌いなふりをして終わらない地球をやり過ごす、すると誰かの子宮が僕を求めて這ってくるからリアルに人肌が嫌いになる。

素直に笑うことができたら充分なんだけどなあ、キスをしてよ。
愛があるだのないだの考えてたら切りがないだろ? とか考えてたらいつの間にか頬が濡れているのはおかしいな。

世界中の悪意を積み上げてもまだ天国に地獄に及ばないから、毎晩展望台から飛び降りてはピエロだとか気違いだとかになりたがる。
慣れたら飽きてサンバを踊るのをやめてしまうのに、今日もピエロだとか気違いだとかになりたがって観覧車に乗ってしまった。
恵まれてるなあ、僕より背が高い君がまだ何を欲しがるの?

ねえ知っているの、このまま僕が君と繋がったまま果てることとか関係なしに世界はx秒したら終わってしまうらしいです。