欠落者


僕は右耳がよく聴こえない
だから何かの儀式のように
貴女の電話は左耳に当ててんだ
ねえ、貴女の右側は空けておいてよ


僕は右手がうまく動かない
だから何かの誓いのように
貴女の身体は左手で撫でてんだ
ねえ、貴女の左側は空けておいてよ


僕はうまく呼吸ができない
だって何かの病気のように
いつだって貴女を愛してんだ
ねえ、貴女の両腕は空けておいてよ


見つめあったまま停滞する僕ら
俯いて泣き出す貴女
見つけられない世界を想って
そっと笑う。


「ねえ、明日はきっと神秘的なセックスが出来るね?」